戦う場所は、変えていい。海外に住んで分かったこと
2019年にバリ島、2023年にバンコクへ生活の拠点を移しました。旅行ではなく暮らしごと移した経験から見えたのは、日本の中だけを見ていると自社の強みも弱みも正しく測れないということです。
これまで20カ国以上を渡航し、二度、生活の拠点そのものを海外へ移しました。2019年から2020年にインドネシア・バリ島、2023年から2024年にタイ・バンコクです。旅行で訪れるのと、そこで暮らすのは、まったく別のことでした。
一度目:バリ島
きっかけは、婚約が破棄になったことでした。日本にいる理由が一つ消えたとき、以前から抱いていた「世界に住んで視野を広げたい」という思いが前に出ました。語学ができない状態のまま、住む場所ごと移しました。
ところが半年後、パンデミックが起こります。住み続けることができなくなり、志半ばで日本へ戻りました。
二度目:バンコク
バリ島できちんと住みきれなかった心残りが、ずっとありました。次に選んだのはバンコクです。アジア経済の成長の只中にあり、世界のハブでありながら物価は安い。妻とバンコク・豊洲の二拠点生活を始めました。
目的は、海外のもの・人・お金の流れを実際に肌で感じながら、日本が世界で勝てるビジネスとは何かを見極めることでした。この期間に、会社の売上は過去最高益となっています。
分かったこと
日本の中だけを見ていると、自社の強みも弱みも正しく測れない。
これが最大の発見でした。日本国内で競合と比べているかぎり、見えるのは相対的な位置だけです。外から日本を眺めて初めて、何が世界に通用し、何が通用しないのかが見えてきます。
日本の事業者が当たり前にやっていることのうち、国外では明確な強みになるものがあります。逆に、国内では評価されている要素が、外では意味を持たないこともあります。この選別は、中にいる限りできません。
「場所を変える」は選択肢のひとつ
経営の相談を受けていると、行き詰まりの原因が事業の中身ではなく、置かれている場所にあるケースに出会います。市場が縮んでいる、単価が上がらない構造になっている、競合が多すぎる。その中で努力を重ねても、改善幅には限界があります。
こういうとき、戦う場所を変えるという選択肢があります。海外移住という意味だけではありません。顧客層を変える、業界を変える、提供する形態を変える。物理的に動かなくても、置く場所は変えられます。
ただし注意点があります。場所を変えることは、うまくいかない理由から逃げる口実にもなります。今いる場所でやるべきことをやりきっていない状態で動くと、同じ問題を持って行くだけです。
判断の分かれ目は単純です。現在地での改善が構造上の上限に達しているかどうか。達しているなら移るべきで、達していないならまだ動くべきではありません。この見極めは一人では難しいので、顧問の打ち合わせでもよく扱うテーマです。
移住・海外進出の相談について
当社はオンラインで対応しているため、海外にお住まいの方からのご相談も承っています。これから移住や海外進出を検討されている方も同様です。
実際に暮らしてみて分かることの多くは、事前に調べても出てきません。移る前に聞いておいたほうがいいことについては、経験の範囲でお伝えできます。
ビジネスより先に、人生の豊かさと人間関係がある。二度の海外生活を経て、この順番は変わっていません。