広告を出さず、紹介だけで10期続けてきた理由
HiMaWaRi合同会社は2016年の設立以来10期にわたり、広告を出さず紹介のみで顧問業を続けてきました。これは美談ではなく、売り込む必要がない状態を保つための経営上の選択です。その仕組みを書きます。
当社は2016年11月の設立から10期目になりますが、この間、広告を出したことがありません。新規のご相談はすべて、既存のクライアントや関係者からのご紹介です。
これを美談として書くつもりはありません。紹介だけで回すのは、集客の観点では明らかに不利です。伸びる速度は遅く、月による波も大きい。それでもこの形を続けているのは、経営上の理由があるからです。
売り込む必要がない状態を保つため
顧問という仕事は、相手にとって耳の痛いことを言わなければならない場面があります。その打ち手はやめたほうがいい、その人に任せるのは早い、その数字は見立てが甘い。
こうした発言ができるかどうかは、こちら側の状態に依存します。契約を取らなければならない立場にいると、判断が鈍ります。無意識に、相手が聞きたいことのほうを言うようになる。これは本人の誠実さの問題ではなく、構造の問題です。
紹介だけで枠が埋まっている状態を保っていれば、その圧力がかかりません。無料の経営診断セッションで売り込みをしないのも、顧問契約を完全審査制にしているのも、同じ理由です。断れる状態を維持することが、助言の質を保つ条件だと考えています。
枠を先に絞る
具体的には、受け入れる数を先に決めています。
- 法人顧問の新規受入枠:月3社
- 初回90分の無料セッション:毎月3名
- 顧問契約:完全審査制。1〜2回の打ち合わせを経て双方で判断
枠を決めてしまうと、埋まった時点でそれ以上は取れません。売上の上限を自分で決めていることになります。不合理に見えるかもしれませんが、週1回30分の打ち合わせを継続し、事業と経営者本人の両方を把握し続けるには、抱えられる数に限りがあります。無理に増やせば、既存のクライアントに割く時間を削ることになります。
紹介が続く条件
紹介で回すには、紹介したくなる状態を作るしかありません。これを分解すると、次の3つになります。
1. 成果が出ていること
当たり前ですが、ここが最初です。紹介は、成果が出た人の口からしか出てきません。
2. 契約が終わっても関係が切れないこと
当社は、契約終了後もおおむね3年間は相談に応じる姿勢で関わることを方針としています。事業が真に安定するまでには相応の時間がかかるためですが、結果として、紹介は契約中よりも契約が終わったあとに出ることのほうが多くなっています。
3. 紹介しやすい説明があること
意外に見落とされるのがここです。紹介する側は、自分の言葉で説明しなければなりません。「すごくいい人がいる」だけでは相手に伝わらない。何をする人で、誰に向いていて、どこからが対象外なのかが、短く言える状態になっている必要があります。
それでも紹介だけでは限界がある
10期続けてきて、この形の限界も見えています。
紹介は、既存のクライアントの人脈の範囲でしか広がりません。業種も、規模も、悩みの種類も、どうしても似通ってきます。当社が50業種以上を支援してきたといっても、それは10年かけて少しずつ広がった結果であって、意図的に広げたものではありません。
また、紹介経路は自分ではコントロールできません。良い月と悪い月の差がそのまま出ます。
そのため現在は、紹介を軸に置いたまま、届く範囲を自分で広げる仕組みを作っているところです。この記事もその一つです。ただし、枠を増やすつもりはありません。増やすのは接点であって、受け入れる数ではない、という整理をしています。
紹介がない状態から相談したい方へ
紹介者がいないことは、相談先を探すうえで小さくない壁です。2020年版小規模企業白書では、日常の相談相手がいない事業者にその理由を尋ねたところ、「適切な相談相手とのつながりがないから」が約7割と圧倒的に多くなっていました(出典:中小企業庁「2020年版 小規模企業白書」2020年)。
紹介者がいない方からのご相談も承っています。初回90分の経営診断セッションは無料で、毎月3名まで。オンラインまたは対面です。売り込みはいたしません。その場で整理できて終わりであれば、それで構いません。