経営顧問の相場と選び方

経営顧問とは、経営者の意思決定に継続して関わり、相談に応じる社外の専門家です。報酬は関わり方で大きく変わり、公的な窓口の無料相談から、中小企業診断士の顧問契約で平均月額132.3千円(2011年調査)まで幅があります。選ぶときは金額より先に、「何を、どの頻度で、どこまで引き受けるか」をそろえることが大切です。

「顧問を頼みたいが、相場が分からない」「契約書には何を書けばよいのか」。顧問を考え始めた経営者の方から、よく伺う質問です。この記事では、公的機関と業界団体の資料に出ている数字だけを使って相場の幅を示し、そのうえで選び方と契約の確認点を整理します。コンサルティングとの違いは「経営コンサルティングと経営顧問は、何が違うのか」で、当社が顧問料を公開していない理由は「顧問料を公開しない理由と、それでも先に伝えておけること」で書いていますので、ここでは重ねません。

結論:経営顧問とは、判断に継続して関わる外部の相談相手

経営顧問とは、契約の期間中、経営者の相談に継続して応じ、意思決定に関わる社外の立場です。

「顧問」という言葉には決まった定義がなく、税理士や弁護士などの士業が担う顧問、元役員が経験や人脈を提供する顧問、経営全体を見る経営顧問など、同じ言葉で中身の違う契約が結ばれています。そのため相場を調べるときも、まず「どの種類の顧問の数字か」を確かめる必要があります。この記事で扱うのは、経営戦略・営業・組織など、経営そのものを相談する顧問です。

経営顧問の報酬相場:公的な資料から見える幅

経営顧問の報酬について、国がまとめた統一の相場はありません。ここでは、出典のはっきりした数字を並べます。どれも「ある条件のもとでの数字」であり、そのまま相場と言い切れるものではない点にご注意ください。

関わり方費用の目安(資料に出ている数字)出典
公的な相談窓口(よろず支援拠点)無料。何度でも相談できる中小企業庁「事務局説明資料」2024年
公的制度を使う計画づくりと伴走(早期経営改善計画策定支援)専門家に払う費用の3分の2を補助。上限は計画策定支援50万円、伴走支援30万円中小企業庁「早期経営改善計画策定支援」2026年10月時点
公的制度を使う本格的な経営改善(経営改善計画策定支援〈通常枠〉)費用の3分の2を補助。上限は調査・計画策定支援200万円、伴走支援100万円中小企業庁「経営改善計画策定支援」2026年10月時点
中小企業診断士の顧問契約平均月額132.3千円(1か月の出向日数は平均4.2日)中小企業診断協会「データでみる中小企業診断士2011」2011年
中小企業診断士のスポットの経営指導1日あたり平均98.3千円(民間の仕事が中心の回答者)中小企業診断協会「データでみる中小企業診断士2011」2011年

中小企業診断協会の調査では、回答した中小企業診断士のうち顧問契約をしている人は45.3%で、顧問料の平均月額は132.3千円、1か月の出向日数は平均4.2日でした(出典:中小企業診断協会「データでみる中小企業診断士2011」2011年)。月に4日ほど関わって月額13万円前後というのが、この調査から読み取れる一つの目安です。ただし十数年前の調査であり、その後の物価や人件費の変化は反映されていません。

公的な制度では、早期経営改善計画策定支援で、認定経営革新等支援機関に払う計画策定の費用の3分の2が補助され、上限は50万円、伴走支援は上限30万円とされています(出典:中小企業庁「早期経営改善計画策定支援」2026年10月時点)。これは補助の上限であって相場そのものではありませんが、国が想定している費用の規模を知る手がかりになります。

また、各都道府県のよろず支援拠点では、経営の相談を無料で、何度でも受けられます。令和5年度には40万件を超える相談に対応しています(出典:中小企業庁「事務局説明資料」2024年)。顧問を頼む前に、まず無料の窓口で課題を整理するという順番も、十分に合理的です。

数字を比べるときは、次の3点をそろえてから比べてください。

  • 関わる時間:月額を、1か月の打ち合わせの回数と時間、打ち合わせ以外の連絡への対応で割って比べる
  • 含まれる範囲:資料の作成、会議への同席、専門家の紹介などが報酬に含まれるかを確かめる
  • 月額以外の費用:成功報酬、紹介料、交通費などの実費があるかを確かめる

経営顧問の選び方:確かめたい5つの点

金額の比較は、関わり方がそろってはじめて意味を持ちます。選ぶ段階では、次の5点を確かめてください。

  1. 何を引き受けるかが、言葉で説明されているか。「何でも相談してください」だけでは、何に効くのかが分かりません。最初の3か月で何を整えるのかを、具体的に聞いてみてください。
  2. 答えを出すだけでなく、社長の考えを引き出してくれるか。顧問の答えに従うだけの関係では、顧問がいなくなった時点で判断が止まります。社長自身の判断の理由を言葉にしてくれる相手かどうかを見ます。
  3. 実務を誰が担うかがはっきりしているか。助言だけなのか、資料の作成や会議への同席まで含むのか。足りない実務を別の専門家に紹介する場合は、紹介料の有無も確かめておくと安心です。
  4. 成果の測り方を先に決められるか。顧問は成果物が見えにくい仕事です。「判断にかかる時間」「社長に上がってくる確認の数」など、変化を測る物差しを契約の前にすり合わせます。
  5. 相性を確かめる場があるか。初回の面談や短い試行の期間で、話の通じ方を確かめてから契約できるかどうかを見ます。

経歴や肩書は判断材料の一つですが、それだけで選ぶと「立派な人だが、自社の判断には関わってくれない」という結果になりがちです。上の5点のほうが、契約した後の実感に近い比べ方になります。

経営顧問の契約書で確かめておきたい項目

契約書のひな形は顧問によって異なります。ここでは法律上の判断ではなく、実務の行き違いを防ぐために、書面で確かめておきたい項目を並べます。条文の有効性など個別の判断が必要な場合は、弁護士などの専門家にご確認ください。

  • 業務の範囲:相談できる領域、打ち合わせの頻度と時間、打ち合わせ以外の連絡の方法
  • 報酬と支払い:月額、支払日、交通費などの実費の扱い、月額以外の費用の有無
  • 契約期間と更新:期間、自動更新の有無、更新しない場合に申し出る時期
  • 途中解約:解約を申し出る期限と、解約するときの精算
  • 秘密保持:社内の情報や顧客の情報の扱いと、契約が終わった後の扱い
  • 資料の扱い:契約中に作った資料やデータを、誰がどこまで使えるか

見落としやすいのは、期間と解約の条件です。顧問契約は効果が出るまでに時間がかかる一方で、合わないまま続けるのは双方にとって損失です。始める前にやめ方まで決めておくと、安心して始められます。

当社の考え方:顧問の価値は「判断基準を移せたか」で決まる

当社は、経営顧問の役割を「社長の代わりに答えを出すこと」ではなく、「社長の判断基準を言葉にして、組織とAIに移すこと」だと考えています。顧問がいる間だけ判断が速くなっても、契約が終わって元に戻るなら、会社には何も残りません。

そのため最初の90日を、次の3段階で進めています。

  1. 言語化(最初の30日):過去の主な判断を振り返り、何を見て決め、何を捨てたのかを文章にします。
  2. AI化(31〜60日):言葉にした基準をAIに渡し、社内で試しに使いながら、ずれた所を直します。
  3. 再配置(61〜90日):AIや幹部が受けられるようになった判断を、実際に社長の手から外します。

詳しい進め方は「社長が仕事を任せられないのはなぜか」に書いています。判断を預けられる社内の人材については「社長の右腕とは」で整理しました。顧問を比べるときも、「契約が終わったとき、会社に何が残るか」を一つの物差しにしてみてください。

よくある質問

経営顧問の報酬は、月額いくらが相場ですか?
統一された相場はありません。中小企業診断協会の2011年の調査では、中小企業診断士の顧問料は平均月額132.3千円でした。関わる頻度や範囲によって金額は大きく変わるため、月額だけでなく、関わる時間と範囲をそろえて比べることをおすすめします。

経営顧問と経営コンサルタントは、どちらに頼むべきですか?
解くべき課題がはっきりしているならコンサルティング、何から手をつけるかの判断から相談したいなら顧問が向いています。違いは「経営コンサルティングと経営顧問は、何が違うのか」で詳しく整理しています。

経営顧問の契約書には、何を書いておけばよいですか?
業務の範囲、報酬と支払い、契約期間と更新、途中解約、秘密保持、資料の扱いの6点は、書面で確かめておくと行き違いを防げます。個別の条文の判断は、弁護士などの専門家にご確認ください。

費用をかけずに経営の相談ができる窓口はありますか?
各都道府県に設置されたよろず支援拠点では、経営の相談を無料で、何度でも受けられます。顧問を検討する前に、課題の整理に使うこともできます。

HiMaWaRi合同会社の顧問料はいくらですか?
当社は顧問料を公開していません。必要な関わりの深さが一人ひとり違うためで、お話を伺ったうえで個別にご案内しています。理由は「顧問料を公開しない理由と、それでも先に伝えておけること」に書いています。

出典

顧問を頼むかどうかを決める前に、いま社長に集中している判断を一度整理したい場合は、初回90分の経営診断セッション(無料・毎月3名)をご利用ください。顧問契約の説明は、ご要望があった場合のみ行っています。

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